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「なぜなぜ分析」は難しい😓?

執筆者の写真: Shinya KataokaShinya Kataoka

長年、工場長として現場に携わってきた経験から、今回は技術品質管理スタッフの皆さんにとって難しく感じる「なぜなぜ分析」についてお話ししたいと思います。


「なぜなぜ分析」は、問題の根本原因を探るための有効な手法ですが、実際に取り組むと多くの人が難しさを感じることも少なくありません。特に、どこで止めるべきか分からない、原因を見つけたはずなのに納得がいかない、といった壁にぶつかることがあります。


まず重要なのは、「なぜ」を問う目的を明確にすることです。分析の目的が曖昧なままだと、「なぜ」をただ繰り返すだけで終わってしまいがちです。目的は「問題の根本原因を見つけ出し、再発防止策を講じること」であり、この目的をしっかりと意識しながら問題の本質に向き合うことが大切です。


よく「なぜ」を5回繰り返すことが推奨されますが、必ずしも5回にこだわる必要はありません。大事なのは、納得がいくまで原因を深掘りすることです。また、1人で抱え込まず、チームで共有することによって、異なる視点から新たな考えが得られることもあります。問題を他の人に分かりやすく説明するだけでも、自分の理解が深まり、見落としていた点に気付くことがあります。


「なぜなぜ分析」を進めるうえで特におすすめなのは、まず「現場を見ること」です。問題が発生した場所に行き、その状況を実際に確認することは、分析において欠かせないステップです。現場で得た情報こそが、真の原因を見つけるための手がかりとなります。例えば、設備の故障であれば、現場で実際にどの部品がどのように故障したのかを確認することで、机上の推測よりもはるかに深い理解が得られます。


次に、問題を「人・機械・材料・方法・環境」の5Mに分けて考えることも有効です。問題の原因を広い視点で捉えることで、思わぬ要因に気付くことがあります。例えば、原因が「機械」だと思い込んでいたが、実は「方法」に問題があった、ということもあります。5M分析を取り入れることで、「なぜなぜ分析」の効果がさらに高まります。


しばしば、「スキル不足」「教育と訓練不足」「再訓練を実施する」で終わりにしてしまうことがありますが、これでは本質的な解決や再発防止には結びつきません。スキル不足を指摘するだけでなく、なぜスキルが不足していたのか、その背後にある組織的な問題や環境的な要因を深掘りすることが重要です。また、教育不足と結論付けた場合でも、その教育がなぜ適切に行われなかったのか、どのようにすれば効果的な教育が提供できるのかまで考える必要があります。


さらに、部門横断的な視野が求められることも多いため、管理者が積極的に関与しないと解決が難しいケースもあります。スタッフの皆さんには、一人で悩まず、積極的に上司を巻き込むことをお勧めします。管理者のサポートを得ることで、問題解決がより効果的に進み、チーム全体での共有と理解が深まります。


また、記録を残すことも非常に大切です。「なぜなぜ分析」を行った際の議論や結論をしっかりと記録することで、同じような問題が再発した際に迅速に対応できるだけでなく、後から見直すことでさらなる改善点に気付くこともあります。記録をチームで共有し、全員が同じ理解を持つことが再発防止に役立ちます。


そして最後に覚えておいてほしいのは、「原因は1つとは限らない」ということです。複数の原因が絡み合っていることが多いため、一つの答えに固執せず、柔軟に考えることが重要です。例えば、生産ラインで不良品が発生した場合、原因が単なる機械の故障だけでなく、作業者のミスや手順書の不備、材料の品質など様々な要因に関係していることがあります。問題の全体像を把握し、それに基づいて対策を講じることで、より効果的な解決策にたどり着けるでしょう。


技術品質管理の仕事は決して簡単ではありませんが、チームで協力しながら「なぜなぜ分析」を上手く活用し、現場の課題解決に一歩ずつ進んでいけることを願っています。分析の道のりは時に困難ですが、その先には大きな成果が待っています。皆さんの努力が積み重なることで、現場はより良くなり、品質も向上していくでしょう。


最後に、「なぜなぜ分析」を単なる問題解決のツールにとどまらず、チームのコミュニケーションを深める手段としても活用してみてください。チーム全員が問題について考え、意見を共有することで、より強固な結束力が生まれます。分析を通じて互いの考えを理解し合うことは、チーム全体の成長にも繋がります。皆さんの成功を心から応援しています!

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